
火災保険で屋根修理の費用が補償される場合があります。ただし5項目の条件をクリアしていないといけません。屋根破損の原因が自然災害であること、発生から3年以内に保険金を申請していること、修理費用が20万円以上であること、必要書類がすべて揃っていること、保険契約者本人が申請していること、以上の5項目です。なかには経年劣化などで保険が使えないのに甘い言葉でだまして工事させる悪徳業者もいるので注意しましょう。
屋根の修理で火災保険は使えるか?
一戸建てか集合住宅かを問わず、火災保険にはほとんどの人が加入していると思います。火災保険を運営する損害保険会社は自然災害による屋根修理であれば補償を認める傾向になりつつあります。ただし火災保険の補償内容は契約者それぞれの契約内容によって異なるので留意しなければなりません。特に屋根のみを対象としているわけではありませんが、火災保険は屋根の強い味方といえます。
『屋根修理の適用範囲』
雨漏りや屋根破損の原因が自然災害の場合には一般的に火災保険が適用されます。火災保険は「火」の被害を補償するとともに「風」の被害も補償してくれるのです。ただし先に述べたように屋根修理に火災保険が適用されるのは自然災害による場合のみです。
経年劣化による屋根修理→適用されない
歳月を経たことが原因の「経年劣化」は保険の趣旨に合わないのでしょうか、今のところ適用が認められていません。
屋根修理で火災保険が適用されるための条件
自然災害が原因で火災保険による補償が認められた場合でもさらにいくつかの条件があります。保険会社や保険代理店に早めに相談して保険金請求のタイミングを逸することのないよう注意しましょう。
- 原因が自然災害であること
- 発生から3年以内に申請されていること
- 申請の際に工事見積書と写真が提出されていること
屋根工事の費用が火災保険で補償されるといっても、100%の保険金が支給されるとは限りません。保険金が決まるまえに保険会社による査定があります。契約者はそこで決定した金額を受け取ることになります。
火災保険で補償される屋根修理の費用相場
屋根修理で火災保険が使えるのは「自然災害が原因の破損のみ」だということはご理解いただきました。ではそれに該当する工事は具体的にどういうものなのか、いくつか例をあげておきましょう。なお、これはあくまでも目安であり、実際の金額ではありません。その点はご承知置きください。
雨漏りの応急処置 | 25,000円~/箇所 |
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雨樋の修理 | 5,000円~/箇所 |
屋根瓦の破損やズレの補修 | 25,000円~ |
屋根をブルーシートで養生 | 35,000円~ |
屋根のカバー工法(スレート→鋼板) | 7,000円~ |
屋根(瓦)の耐震化 | 15,000円~/平方メートル |
火災保険で屋根を修理する際の注意点
火災保険で屋根修理をする場合には注意すべきことが5項目あります。先述の「火災保険が適用される条件」の繰り返しも含みますが、大事なことなのでここにも整理しておきます。主に保険金の申請にまつわる注意点になりますが大事なことなのでくれぐれもご注意ください。
- 原因が自然災害(風災)であること
- 発生から3年以内に申請していること
- 修理費用が20万円以上であること
- 必要書類をすべてそろえて申請すること
- 保険契約者本人が申請すること
こまかいことですが申請の際には工事見積書と写真を添付する必要があります。屋根修理業者に依頼してあらかじめ用意しておくとスピードアップになるでしょう。
火災保険の屋根修理トラブルとは?
屋根の修理工事で各地をまわっていると、いろいろなトラブルを見聞します。特に東日本大震災、熊本地震、能登半島地震のような大きな自然災害の直後には詐欺的な悪徳商法がはびこります。そのなかには屋根修理の悪徳業者も存在しています。
ある悪徳業者は火災保険が使えない経年劣化の屋根修理にもかかわらず「火災保険が使える」「自己負担ゼロで修理できる」と施主を勧誘して工事を実施してしまいました。しかし被害の原因認定は屋根修理業者ではなく保険会社の判断です。このケースでも最終的に保険会社から保険金は支払われませんでした。悪徳業者はここにつけこんで、施主から強引に代金を取り上げます。話が違うと苦情を言っても小さな文字の契約書をちらつかせ、のらりくらりと逃げられてしまい、やがて連絡がつかなくなりました。すでに払った工事代金は自己負担になり、施主は余計な負債を抱えることになりました。このような甘いワナにかかる事例が増えていますので「火災保険で屋根修理ができる」とか「自己負担ゼロで修理できる」というセールストークには要注意です。
火災保険の屋根修理トラブルにあった時の対処方法と回避方法
火災保険の屋根修理トラブルにあった場合、有効な対策は「先手必勝」です。相手より早く動いて有利な立場になること。悪徳業者はその多くが訪問販売でアプローチしてきます。ということは契約してしまってもクーリングオフ制度が使えるということ。契約した日から8日以内であれば、その契約そのものを解除できます。ただし相手方の事務所へ出かけて契約したり、自宅に呼び出したりした場合、クーリングオフは適用されません。この点は充分に注意したほうがよいと思われます。
トラブルに遭遇した時はひとりで落ち込まず、事情を誰かに話し、相談に乗ってもらうことです。家族でも友人でもかまいませんが、できれば専門家や第三者機関とコンタクトをとりましょう。都道府県や市町村など行政の窓口でもよいですし、国民生活センターのような組織でもかまいません。あるいは取引のある保険会社か保険代理店に相談してみる手もあります。そこには同様な事例が情報として蓄積されているはずですし、取引がある以上、親身になって対応してもらえるはずです。
トラブルを回避するにはいくつかの方法がありますが、もっとも的を射ているのは「君子危うきに近寄らず」ということわざのとおりです。屋根修理の悪徳業者は「火災保険を使って自己資金ゼロで屋根を修理します」などと甘い誘いをかけてきます。そのようなおいしい話は何かしら怪しいと思うべき。トラブルを回避するにはおいしい話にのらないことです。なかでも飛び込み営業の業者には充分な注意を払いましょう。勝手に屋根に登ろうとしたら住居侵入罪で110番することをおすすめします。
屋根修理の自己負担を軽減する方法
火災保険の補償が対象外だとしても、屋根修理の自己負担を軽減する方法はあります。それは「相見積もり」です。工事に掛かる費用は使用する資材によってあいまいになりがちです。しかし相見積もりなら複数の屋根工事業者が同条件で競うことになり、こまかい内訳まで明確になります。料金が少しでも安くなれば自己負担は減るわけですからぜひトライしてみてください。
屋根修理は節税につながる可能性あり
なお屋根修理工事の費用が節税につながる可能性もあります。それは確定申告の雑損控除に計上する方法です。これが受理されれば実質的な節税になります。また事業所の屋根修理工事であれば修繕費などの経費になります。物件を賃貸している大家さんも屋根工事費用を経費にすることができます。屋根修理はこうしたかたちで節税にも活用できます。
この記事の監修者

- 株式会社Re'roof 代表取締役
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「お客様の大切なお住まいを、屋根からお守りする」という信条の基、日々高品質×低価格にてお客様に安心の本物の屋根の修理、ご提供をおこなっている。常によりよいものを考え新しい技術や資格にも挑戦しつづける、向上心の固まりなリルーフ代表。
国家資格:一級建築板金技能士【検定職種:建築板金(内外装板金作業)】、技能士番号:21-1-122-14-0003
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